1.フランス人の道 Camino Francés

12世紀にスペイン北部がイスラム勢力から奪還された後に主要な巡礼路として定着してきたもので、フランス人の巡礼者が多く歩いたことから”フランス人の道”と言われています。 当時の「サンティゴ巡礼案内」によると主要な巡礼路は4本で、いずれもフランスの主要都市であるパリ(又はトウール)、ヴェズレー、ル・ピュイ及びサン・ジル(現在のアルル)を起点として、これらの巡礼路がプエンテ・ラ・レイナPuente la Reinaにおいて一本となります。現在でも、このフランス人の道Camino Francesが主要なルートで最も歩く人が多く(約55%:2019年)フランス国境となるサン・ジャン・ピエド・デ・ポーSt.Jean Pied de Portをスタート地点としてピレネー越えをしてスペイン国内へ入ります。

一方ピレネー山脈をソンボート峠Col de Somportを越えてプエンテ・ラ・レイナPuente la Reinaへ至る道は「アラゴンの道」と呼ばれているが標高差も大きいく出発地への交通も不便である事から、サン・ジャン・ピエド・デ・ポーSt.Jean Pied de Portから歩く方が一般的となっています。
フランス人の道はパンプローナPamplona、ブルゴスBurgos及びレオンLeón等の主要都市を巡り世界遺産となっているカテドラルも有ることから見所の多い巡礼路でありアルベルゲと呼ばれる巡礼宿も多く初めての方も安心して歩けます。 多くの巡礼者はサンティアゴから地の果てと言われるフィステラ岬Fisterraまで行きますが、バスの便も有りありまたムシアMuxiaへ回る方もいます。。 サン・ジャン・ピエド・デ・ポー Saint Jean Pied de Portからサンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de Compostela(以下、サンティアゴ)スまでは約756km(33Etapa:行程)、サンティアゴからフィステーラ岬まで約90kmの距離があります。

2. 巡礼路の概要

(1)サン・ジャン・ピエド・デ・ポーSaint Jean Pied de PortからブルゴスBurgos
サン・ジャン・ピエド・デ・ポー(以下、S.J.P.P)からロンセスバージェスRoncesvallesまではピレネー越えとなり標高1,430m のレポエデル峠までひたすら登り坂となります。
シーズン中はナポレオンルートを歩く事が出来ますが、悪天候の場合及び残雪があって危険な場合は国道沿いを歩くことになるので、前日に巡礼事務所で巡礼路の状況を確認する事が必要です。冬季シーズン(12月~3月末)はナポレオンルートが閉鎖となるので国道沿いの道を歩きます。峠までの標高差はありますが途中までは車も通行できる道であり、日本のハイキングコースの様な急こう配の山道の厳しさはありません。
(途中のオリソンOrissonに宿泊すると翌日の行程が楽になります。)
パンプローナPamplonaまでは緑の多い道であり気持ちよく歩けます。パンプローナPamplonaを過ぎるとスペインらしい広々とした耕地や牧場が広がり、丘の村シラウキCirauquiは美しい村です。

アラゴンの道Camino Aragonesからの交差点である、プエンテラレイナPuente la Reinaの王妃の橋を見て、歴史を感じるエステージャEstellaへ着くと、ホスタル等もあり一息つける町です。有名なワインの水道があるイラーチェIracheからログローニョLogroño付近にはブドウ畑が広がり豊かなスペインの農村を感じる事が出来ます。巡礼路はサントドミンゴ・デ・カルサーダSanto Domingo de Calzadaを過ぎるとペドラハ峠(標高1,165m)までやや登りとなります。サン・ファン・デ・オルテガSan Juan de Ortegaから高原状の大地になり、久しぶりに大都会のブルゴスBurgosへ着きます。 ブルゴスの大聖堂はスペイン3大カテドラル(セビージャSevilla、トレドToledo)であり巡礼の疲れを忘れる美しさです。

サンティアゴまで765Kmの距離標 広大な大地を行く巡礼路

(2)ブルゴスBurgosからサリアSarria
ブルゴスBurgosからレオンLeónまでは標高600~800m程度のメセタ大地が広がり、巡礼路も道路沿いのセンダであったり、農道を歩くことが多くやや退屈ですが区間とも言えます。
オルニージョス・デル・カミーノHornillos del CaminoからオンタナスHontanasまでは約10km単調な農道が続きますが、フロミスタFrómista付近ではカスティージャ運河沿いの樹木が美しい光景です。レオンLeónはカスティージャ・レオン州レオン県の県都でありゴシック様式の大聖堂のステンドグラスは見事です。ブルゴスと並び観光に一日を費やすことも良いでしょう。

アストルガAstorgaを過ぎると前方に山々が見え出し、フォンセバドンFoncebadónの登りが始まり鉄の十字架のモニュメントを見るとモリナセカMolinasecaまではやや急な下りの山道が続きます。ポンフェラーダPonferradaはテンプル騎士団が防衛した見事な城が残っています。ここからセブレイロ峠O’ Cebreiro)までがフランス人の道での最難所となるりますが、ここまで歩いていると体も歩く事に順応しており心配する程の登りに感じないでしょう。しかしながら冬季は積雪も多いのでポンフェラーダからサリアSarriaへ迂回も考えた方がよいかもしれません。
静かな山間にあるサモスSamosの修道院を過ぎれば、サリアSarriaへ着きます。

鉄の十字架(Foncebadon) レオン大聖堂

(3)サリアSarriaからサンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de Compostela
サリアSarriaからサンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de Compostela(以下、サンティアゴ)までは約113Kmであり、ここからサンティアゴまで歩けば巡礼証明書が貰える為、ここを出発地点として歩き始める人が多いです。
サンティアゴまでは特に大きなアップダウンも無くアルベルゲ等の宿泊施設も多いことから問題なく歩くことが出来ますが、夏のハイシーズンにはアルベルゲも混雑します。
ダム建設で湖に沈み新たに丘に移設したポルトマリンPortomarinを過ぎ、北の道が合流するメリデMerideを過ぎれば最終地点のサンティアゴも近くなり、最後のモンテゴソMonte do Gozoで宿泊して翌日に12時のサンティアゴ大聖堂での巡礼ミサに間に合うように出発します。巡礼事務所で「巡礼証明書」を受け取り一緒に歩いた仲間と祝福する事が出来るでしょう。

緑の多いガリシア州の巡礼路 サンティアゴ大聖堂(改修前)

(4)サンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de CompostelaからフィステーラFisterra、ムシアMuxia
サンティアゴの市内を見学して一両日休養したらスペイン最西端のフィルテーラ岬まで足を伸ばすことをお勧めします。フィステーラはスペイン語で地の果てという意味で長い巡礼路の終着点にふさわしい場所と言えます。サンティアゴから歩くと4日(約90Km)かかりますがバス便もあり、フィステーラFisterraからさらに半島を回ってムシアMuxiaへ歩く方もおられます。

フィステラ岬 靴のモニュメント

 

全体の地図と高低表

         出典:Along the way  ( https://along-the-way.org/2016/05/09/map-of-the-camino/ )

2.宿泊設備、交通事情、通信事情など

(1)宿泊設備
フランス人の道Camino Francésは宿泊設備が十分にあり、アルベルゲAlbergueは5Km間隔程度に公共Municipal又は私営Privardのものがあり不便はありません。ただし、6~10月のシーズン期間中は満員になる事が多く、早めに到着する事が必須です。公営Municipal及び私営Privado共にでは事前予約が可能です。
詳細は下記のWebサイトが最新情報を掲載しています。

EROSKI CONSMER   Mundicamino    Gronze.com
(2)交通事情
スペイン国内にはスペイン国鉄(Renfe)がありマドリッドMadridと巡礼地のパンプローナ、レオン、アストルガ及びサンティアゴ等で利用可能です。主要地については鉄道よりもバスが便利でALSA、Amaya、Monbus 等の会社があります。
・出発点のサン・ジャン・ピエド・デ・ポー Saint Jean Pied de PortへはフランスのパリからTGVでボルドー経由で行くのが便利ですがマドリードMadridからはパンプローナPamplona経由でバスがあります。
・巡礼路途中のブルゴスBurgos、レオンLeonはマドリードMadridからTGVが便利です。
・100KmとなるサリアSarriaはマドリードMadridからルーゴLugo経由でバスがあります。
(3)通信事情
スペイン国内では主に下記の携帯電話会社がサービスを行っています。
Movistar(スペイン最大の通信会社Telefonicaの携帯サービス)
Vodafone España (英国の世界的な携帯電話会社)
Orange (フランスの携帯電話会社)
サービスの方式はGSM/W-CDMAであり、日本の携帯電話会社(ドコモ、Au、ソフトバンク)とローミング契約を行っているので利用が可能だが自分の携帯電話が国際ローミングに対応しているか事前に確認が必要です。
巡礼路の途中では圏外になる事がありますが、各村内では通話可能で問題はありません。プリペイドサービスも行っていますが短期の巡礼者には自分の携帯電話を持参することが利用性が高いですし、スマートフォンがSIMフリーであれば現地でSIMを購入して利用が出来ます。Wifiサービスもホテル、レストラン、バル及び一部のアルベルゲで利用可能です。

3.歩いた行程表

私が歩いた行程表です。<PDF>(休養日等も含まれておりますが日程の参考にして下さい。)

4.巡礼路の全体的な印象

(1)巡礼路の状況
フランス人の道は多くの巡礼者が歩いており、道標、宿泊設備(アルベルゲ等)及びレストラン・バル等も完備されているので歩く事には問題はありません。巡礼路もセブレイロ峠、ピレネー越え等の標高差がある個所もありますが、車も通れる道で長い緩やかな登りが多いので時間をかけて歩けば十分に歩けます(但し、悪天候時は注意が必要です)
途中には世界遺産のカテドラルや歴史的な建造物もあり、十分に巡礼中の観光も楽しめるルートです。
(2)歩く季節
夏季(特に6~9月)の日中の暑さで、メセタの午後になると35℃程度までになる事も多いので熱中症に十分注意が必要です。

5.ガイドブック

フランス人の道には多くのガイドブックが発行されていますが、比較的入手可能で推奨するガイドブックを下記に示します。

    世界遺産を歩く旅「聖地サンティアゴ巡礼」(増補改訂版)
発行:ダイアモンド社 監修:日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会
価格:2,100円 ISBN978-447-02346-4
日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会で販売しています。”

日本語版ガイドブック
  A Pilgrim’s Guide to the Camino de Santiago
St. Jean, Roncesvalles, Santiago (Camino Guides)
発行:Findhorn Pr; 12 Revised版 著者:John Brieriey
価格:¥3,552 (Amazon.jp)ISBN-13: 978-1912216000

 Camino De Santiago Maps St. Jean Pied De Port – Santiago de Compostela
発行: Findhorn Pr; Mul版 (2020/1/15) 著者:John Brieriey
価格:¥1,724 (ペーパーバック)ISBN-13: 978-1912216086
・上記の地図版(これで十分です)
・毎年2月頃に改版されていますので最新版を購入して下さい。

  Camino de Santiago: St. Jean- Santiago – Finisterre (英語版)
発行: Stein, Conrad Verlag; 1. Auflage版 (2016/02)
著者:Raimund Joos
価格:¥2,269 (ペーパーバック) ISBN-13: 978-3866865174