1. ポルトガルの道 Camino Portugués

ポルトガルの道Camino Portuguésはイベリア半島西南のポルトガルの首都リスボンLisboaを起点としてスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de Compostelaまで南北に約615Kmを結ぶ巡礼路です。
ポルトガルの道Camino Portuguésは多くのサンティアゴ巡礼路の中でフランス人の道Camino Francesの道に次ぎ2番目に歩く巡礼者の多い人気の道です。現在、多くの巡礼者はポルトガルの道Camino PortuguésのリスボンLisboaに次ぐポルトガル第二の都市であるポルトO Portoを出発点としています。最近はポルトO PortoからビーゴVigoまで海岸線を歩くルートCamino Portugués por la Costaが人気がです。
ポルトガルの道Camino Portuguésのポルトガル国内の区間(特にリスボンLisboaからポルトO Portoまで)はスペインの様な公共Municipalのアルベルゲが無く消防署がボランティアで巡礼者を宿泊してくれましたが最近では私営Privardのアルベルゲが増えてきました。巡礼路はかつての巡礼路の区間が少なく一般の道路を歩く事が多く郊外の一般道でも石畳の道が多いのも特徴です。それでも途中のトマールTomarのテンプル騎士団の修道院や大学都市のコインブラCoimbraやポルトO Portoのドン・ルイス一世橋(Ponte Don Luis Ⅰ)等の魅力的な世界遺産の都市があり,途中のブドウ畑や美しいタイル(アズレージョ)に飾られた教会や住宅などスペインと異なる風景もこの巡礼路が人気の理由かと思います。
ポルトガルとスペインの国境のミンホ川Rio Minho両岸の町ヴァレンサValença do Minho又はトウイTuiからサンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de Compostelaまでが約119kmである事からこの町から出発する巡礼者が多くいます。

2. 巡礼路の概要

(1)リスボンLisboaからコインブラCoimbra
リスボンLisboaはタホ川Rio Tajo(ポルトガル語ではO Tejo:テージュ川)の河口に広がる美しいポルトガルの首都でアルフォンソ1世時代から建設されたリスボン大聖堂Sé de Lisboaがこの巡礼路の起点になります。
リスボンLisboaからサンタレンSantarem,、アジニャガAzinhagaまではタホ川沿いの道を歩きトマールTomarへ着きます。トマールTomarは市内にナバオン川Rio Nabaoが流れ緑の多い静かな町で市内の高台に世界遺産のキリスト教修道院(Convento de Cristo em Tomar)があります。この修道院は12世紀にテンプル騎士団によって建設されエルサレムのオマール・モスクを模した円堂(Rotonda)やゴシック様式の墓の回廊(Claustro do Cemitério)と沐浴の回廊(Claustro da Lavagem)等の見事な建造物があり是非時間を取って見学すべき所です。
トマールTomarの街を出るとアルヴァイアーゼレAlvaiázereに向けてやや登りになりAlt(470m)を越えてラバサルRabaçalへ下ります。
トマールTomarから約95Km、4日程度でコインブラCoimbraです。コインブラCoimbraは古代ローマ時代にアエミニウム(Aeminium)と呼ばれ。南に約15kmにあるコニンブリガ考古遺跡は、イベリア半島に残る最大規模の都市遺跡です。
コインブラ大学(Universidad de Coimbra)は1290年の建設で都市の発展に寄与してきました。現在でも8つの学部に2万2千人の学生が学んでおり黒いマントが特徴です。旧大聖堂(Sé Velha de Coimbra)はポルトガルで最も重要なロマネスク様式の建築です。

トマールのキリスト教キリスト教修道院 コインブラ大学

(2)コインブラCoimbraからポルトO Porto
ポルトガルの巡礼路は石畳が多く膝に負担がかかるのと雨の日に滑るのが欠点でがメアリャーダMealhada付近でやっと林の農道が現れます。アヴェランス デ・カミーニョAvelãs de Caminhoの街を出ると差点手前にはファティマFatimaへ111Kmの道標があり、ここがファティマFatimaへの分岐点です。ファティマFatimaはトマールTomarの西約20Km程度にある聖母の出現で著名なキリスト教の巡礼地でサンティアゴ巡礼を終えてからファティマFatimaへ回る巡礼者がいます。アゲダAguedaを過ぎると前方の高台に ヴォウガVougaの教会Mourisca do Vougaが見えてきます。やがて国道(N-1)沿いを歩くと橋の上から洪水で破壊された石橋(Ponte Romano)が見えます。
次のアルベルガリア・ア・ヴェーリャAlbergaria-a-Velhaから先のポルトPorto間の山間部では2016年の大規模な山火事で巡礼路が閉鎖された事があります。
サン・ジョアン・ダ・マデイラSão João da Madeiraを過ぎるとやがてポルトPortoの街が見えドウロ川(Ro douro)の架かるドン・ルイス1世橋(Ponte Dom Luís I)を渡りますが眼下にはポートワインの倉庫が並んでいるのが見えます。ポルトPortoはリスボンLisboaに次ぐポルトガル第二の都市で市内の歴史地区には聖グレゴリウス聖堂(Igreja dos Clérigos)、12世紀に建設されたロマネスク様式のポルト大聖堂(Sé do Porto)及びポルサ宮(Palácio da Bolsa)等がありここも世界遺産に登録されています。観光客も多くここで一日の観光と休養をお勧めします。

サンティアゴへ303Km ポスト(Fatimaへの分岐) ドン・ルイス1世橋(Ponte Dom Luís I)

(3)ポルトO PortoからトウイTui
トウイTuiまでは海岸線を歩くルートCamino Portugués por la Costaと内陸部を歩くルートがありますが、私は内陸部を歩いたのでこちらを記載します。
ポルトO Portoの街を出ると市街地が続きモレイラ・デ・マイアMosteiro da Maiaは国道(N-13)の交通量の多い道を歩いて再び石畳が続きます。ヴィラリーニョViarinhoの街では全長30m以上はある素晴らしい石橋(Ponte de Zameiro)を渡り、バルセロスBarcelosはローマ時代の植民地都市との事で数々の歴史的建造物が多く市内の広場(Largo da Porta Nova)にある六角形のボム・イエス・ダ・クルス寺院(Templo do Bom Jesus da Cruz)等はポルトガルらしさを満喫できます。バルセロスBarcelosから約33kmを国道(N-203)を交差しながら農道を歩くとポンテ・デ・リマPonte de Limaで街の名前に由来するローマ橋(Ponte romana e Medieval)は全長330mあるとの事です。アルベルゲはこの橋を渡った所にあります。ここからルビアインスRubiãesまでは約18kmと距離は短いが途中に約400mの峠越えがあり久しぶりに山越えになります。ルビアインスRubiãesは山間部の静かな村で小さなアルベルゲも好感が持てました。
ルビアインスRubiãesからややアップダウンのある道を歩くとやがてヴァレンサValença do Minhoの方角が良く見渡せる場所を過ぎてポルトガル国境にある要塞都市のヴァレンサValença do Minhoに着きます。旧市街は星形のヴァレンサ要塞(Fortaleza)の囲まれた所にあり城塞のテラスからミンホ川(Rio Minho)とスペイン側のトウイTuiの街をを見渡す事が出来ます。
ミンホ川(Rio Minho)に架かる鉄橋を渡ってトウイTuiの街に入りますがヴァレンサValença do Minhoに比べると静かな町で多くの巡礼者がヴァレンサValença do Minhoを出発点としているのも納得します。

ポンテ・デ・リマのローマ橋 ヴァレンサの要塞からトウイTuiを望む

(4)トウイTuiからサンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de Compostela
トウイTui街を出ると直ぐに沿いの道に出て巡礼者のモニュメントと石橋(Puente Medieval da Veiga)がありやがて林間に聖テルモ(San Telmo)の十字架が残っています。オ・ポリーニョO Porriñoの街を抜けて高速道路(A-52)の下を潜った所に97kmのポストがありますので100kmを切った事が分かります。レドンデラRedondelaからビーゴ湾(Ria de Vigo)が見渡せる山間部を歩きポンテベドラPontevedraの街へ下って行きます。ポンテベドラPontevedraはレレス河(Rio Lérez)の河口にありポンテベドラ湾 (Ria de Pontevedra)に面していますが、かつてはガリシア州で最大の港町であったとの事です。
ポンテベドラPontevedraからレレス河(Rio Lérez)に架かる橋(Puente de Burgo)を渡ると聖ヤコブの遺骸が流れ着きアジャ川(Rio Alla)をパドロンPadrónへ運んだ海岸線の巡礼路(Variante-Espiritual del Camino Portugues) への分岐があり案内板がりました。
カル ダス・デ・レイCaldas de Reisを過ぎるとやがてパドロンPadrónに着き、サンティアゴ教会(Iglesia de Santiago de Padrón)や丘の上にそびえるカルメ修道院(Convento de Carme)を見る事が出来ます。ここはサンティアゴ巡礼を終えてから訪問する巡礼者が多くいます。パドロンPadrónからサンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de Compostelaまで約25Kmでポルトガルの道Camino Portuguésの巡礼を終える事が出来ます。

レドンデラからビーゴ湾(Ria de Vigo) パドロンPadrónのサンティアゴ教会

ポルトガルの道Camino Portuguésの地図

出展:
高低図

出展:Prigrim https://www.pilgrim.es/camino-portugues/

【参考】
Variante Espiritual Rute
伝説によると聖ヤコブの遺骸を乗せた石の小舟はアロウサ湾(Ria Arousa)からウジャ河(Rio Ulla)を登ってパドロン(Padorón)へだどり着き石に小舟を括り付けたとされています。この為、このルートをたどるVariante Espiritual Ruteをたどる巡礼路があります。このルートはポンテベドラ(Pontevedra)からパドロン(Padorón)へ3Etapa(3日間)です。 下記にルート説明のパンフレットと関連のサイトを掲載しておきます。
Variante Espiritual Portugues (PDF)  Variante Espiritual.com

3.宿泊設備、交通事情

(1)宿泊設備
リスボンからの詳細情報及び宿泊設備は下記のサイトに記載されています。
Gronze.com
トウイTuiからサンティアゴ・デ・コンポステーラSantiago de Compostelaまでは下記にも記載されています。
EROSKI CONSMER   Mundicamino
下記の一覧表も便利です。
Todos los Camino de Santiago : Listado de Albergues Camino Portugués
ポルトガル国内はAssociação de Peregrinos Via Lusitanaが下記で情報提供しています。
Albergues do Caminho Portugués a Santiago

(2)交通事情
ポルトガルの道Camino Portuguésの出発地となるリスボンLisboa又はポルトO Portoまで日本からの直行便はありませんので各種航空会社の中継地から乗り継ぐ事になります。帰国便を考慮するとマドリードMadridからが便利かと思います。
トウイTuiを出発地とする場合はマドリードMadridから鉄道又はバスでビーゴVigo経由が便利です。下記のサイトが詳細に記載されていますので参照下さい。(巡礼路を歩く、巡礼路への行き方、戻り方 等)

日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会

3.歩いた行程表

私が歩いた行程表です。<PDF>(リスボンLisboa、トマールTomarへ立ち寄りコインブラCoimbraからスタートしました。休養日等も含まれておりますが日程の参考にして下さい。)

4.巡礼路の全体的な印象

(1)ポルトガル国内では石畳の区間が多い。
ポルト(O Porto)までは比較的一般道を歩くことが多く郊外でも石畳の道が多くなっています。この為、膝に負担がかかり降雨があると滑り易いため注意が必要です。
(2)レジデンスがアルベルゲを併設しているところがある。
ポルトガル国内の宿泊施設には一般のホテルの他、ポサーダ(Posada)やレジデンシャル(Residencial)等の比較的安価な宿泊施設がありますが、巡礼者の増加でアルベルゲを併設しているところがありました。(下記に一例を示します。)
メアリャーダMealhada:Residencial-Restaurante Hilário
アゲーダ(Agueda) : Albergue Peregrinos St Antonio de Agueda 等)
最近は私営Privardのアルベルゲが増えてきている様です。
(3)ポルトガル国内も巡礼路の標識は問題ありません。
ポルトガル国内も黄色い矢印や標識も多く問題はありませんでした。サンティアゴSantiago de CompostelaからファティマFatimaへ向かう巡礼者もいる為、青い矢印とファティマFatimaへの距離標も多くありました。

5. ガイドブック

ポルトガルの道(Camino Portugués)のガイドブックは多くの出版社から発行されています。現在購入可能な主なガイドブックには下記があります。
(随時、改定されていますので最新版にご注意下さい。)

   書名 :Camino Portugues: Lisbon – Porto – Santiago: Coastal & Central Routes
著者 :Matthew Harms
出版社:Village to Village Press; 第3版 (2020/1/21)
ISBN: 978-1947474185
価格 :¥2,196-

 書名 :A Pilgrim’s Guide to the Camino Portugués: Including Camino Central, Variente Espiritual, Camino Da Costa, & Senda Litoral (英語版)
著者 :John Brierley
出版社: Camino Guides; 第12版 (2022/1/4)
ISBN: 978-1912216161
価格 :¥2,764- (予約受付中)

書名 :Camino Guide Portugues Maps:Lisbon–Porto–Santiago (ポルトガル語)
著者 :John Brierley
出版社:Findhorn Pr; (2020/1/7)
ISBN: 978-1912216147
価格 :¥1,851- 前項のガイドブックの地図のみです。